レーシックの疑問

昨今(2009年2月25日)報道された「感染症」だけではありません。適正な治療ではあり得ない術後の問題で、大学病院の角膜外来を受診される例が少なからずあるのが現状です。レーシックは、眼科専門医が眼科医療として行うべき手術と考えます。大切なことは手術方法だけではありません。レーシックの治療についてもっと知りましょう。

  • 「レーシックで眼球の動きがおかしくなったり、目が見た目に変わったりしますか?」

  • レーシックによって、眼の動きや見た目が変わることはございませんので、ご安心ください。むしろ、コンタクトレンズをしていた方は、瞼のたれ(眼瞼下垂)がある方が時々いらっしゃいます。その場合、レーシック後にコンタクトレンズを装用しなくなると眼の開きが大きくなる(ぱっちりみえる)ことがあります。



  • 南青山アイクリニック 戸田 郁子


  • 「レーシック後に近視が戻ってしまったが、再手術ができず、
    レーシック後はコンタクトレンズも使えないという話を聞きました。
    本当でしょうか?」

  • レーシックを受けてもコンタクトレンズは使えます。コンタクトレンズが使えないとおっしゃる方は、レーシックのせいではなく、もともとドライアイがあったなどの別の理由でコンタクトレンズが使用できないのではないでしょうか。
    近視の戻りなどで再手術が必要になる可能性が5~10%程度あります。しかし、もとの近視の状態に戻ってしまうことはありません。角膜の厚さが薄く、近視が強い方ですと、再手術可能な角膜の厚さを残せないことがありますが、なるべく再手術できる余裕を残しておけることが望ましく、また、角膜の安全な強度を保つためにも、手術の矯正量を慎重に決める必要があります。また、このあたりは、術前の正確なデータと、患者様と十分にお話ししながら手術データを作成する必要があります。レーシック手術そのものは難しい手術ではありませんが、術前の正確なデータと、担当医師とよくコミュニケーションをとることが、手術の結果に影響します。大切なポイントです。



  • 南青山アイクリニック 三木 恵美子


  • 「レーシック難民」という人たちが、レーシックを受けたら
    「物が二重に見える複視や斜視になった」と訴えていますが、
    そのような合併症が起きる可能性はどのくらいあるのでしょうか?」

  • 「複視」とは物がダブって見えてしまうもので、片目でダブる「単眼複視」と、両目で見るとダブってしまう「両眼複視」に分けられます。片目でダブって見えるのは、主に乱視です。
    両目でダブって見える場合は、同時に同じ方向を向けなくなる斜視が考えられます。斜視の多くは眼を動かすための筋肉のバランスの問題で起こります。LASIKで筋肉のバランスが崩れることは考えにくいです。眼鏡で見た目にカバーされて患者さんは気づいていないが手術前からあった可能性が考えられます。ただし、偶発的に、頭蓋内疾患(脳腫瘍など)を来し、それが起こる可能性はあります。
    以下に斜視と近視にまつわる事例を述べますが、これもレーシック後に起こったとは考えにくいです。
    ① 内斜視と近視
    内斜視に近視を合併している場合、近視を矯正することによって内斜視が顕在化することがあります。一方で、融像幅(像をひとつに結ぶことができる範囲)が広い場合には、近視を矯正すると両眼視(両目で立体的に物を見ること)がしやすくなり、眼位が改善することがあります。
    ② 斜位近視
    間欠性外斜視(物を見ようとしない時には外斜しているが、見ようとすれば眼位を正しい位置にすることができるもの)の中には、眼位を保つための融像性輻輳(物をひとつに見ようとして目の位置を内側に向ける働き)に伴い過剰な調節(近くにピントを合わせようとする力)が働き、両眼視時に近視化がみられることがあります。これを斜位近視といいます。斜視を治せば近視は治ります。逆にそのまま近視を矯正してしまうと、結局遠視になって眼精疲労などの原因となってしまいます。
    いずれにしても、術前にしっかりと検査を受け眼科専門医の診断を得ることが重要です。

  • 名古屋アイクリニック 中村 友昭


  • 「レーシックをすると、光がまぶしく見えるようになるというのは本当ですか?」

  • 個人差がありますが、手術直後に眩しさを感じる方がいらっしゃいます。ただ、眩しさといってもその表現と感じ方は多様で、ドライアイによるものから、収差(光の微細なずれ)や過敏によるもの、ハロ、グレアをいうものなど、いろいろです。要因もさまざまですが、ほとんどは角膜の状態が安定してくると同時に症状が軽減し、またその状態に慣れて、多くの方は3~6ヶ月ほどで気にならなくなります。最終的にはコンタクトレンズよりクリアに見えるとおっしゃる方が多いので、感じ方に個人差があるようです。



  • 海谷眼科 海谷 忠良


  • 「レーシックで遠くが見えるようになると、近くが見えなくなりますか?」

  • 人間の目には調節力というオートフォーカス機能がそなわっているので、30歳代までの人であれば、レーシックで近視を治して遠くが見えるようになっても近くが見えなくなることはありません。コンタクトレンズや眼鏡をかけても近くが見にくくならないことと同じです。
    40歳以降の年齢では、調節力が弱くなって、近くが見えにくくなる老眼(老視)の症状がでてきます。裸眼で近くがよくみえていると感じている近視では、レーシック後には近くが裸眼で見にくくなるということが起こり得ます。これは眼鏡やコンタクトレンズで同じ状態にしても同じですので、レーシックによって老視がすすんだということではありません。
    老眼になっていなくても、度の弱い眼鏡をかけて、調節をさぼっているような近視の方だと、手術直後は近くがみにくいかもしれませんが、2週間くらいで慣れてきます。
    すなわち、老眼の方は目にあった近用眼鏡をかければ見えます。老眼年齢より若い方の場合には目が慣れてきて見えるようになります。
    いずれも、手術の前によく担当医と相談されることが大切です。


  • バプテスト眼科クリニック 稗田 牧


  • 「レーシックは角膜を切るので、視力の質が悪くなる、見え方が低下する、
    というのは本当ですか?」

  • レーシック手術がスタートした初期の頃の一部の治療では、薄暗い場所での見づらさ(コントラスト視力の低下)や、夜間の対向車のヘッドライトの光がにじんで見えるグレアや、街灯の明かりにかさがかかったように見えるハローといった視力の質の低下を招くことがありました。
    レーシックの臨床導入から20年が経過し、技術革新も行われて、今ではほとんど解決されています。ただし、暗い所で瞳孔が大きく開く人や、近視が強くて矯正量の多い人、角膜の厚さが薄いなどの理由でレーザーの照射径を小さくした場合には、起こる可能性がありますので、術前検査における暗所時瞳孔径のチェックは非常に大切です。眼の状態と矯正量について、知識の豊富な眼科専門医のもとでよく相談をされて手術を受けることが、良好な視力の実現にとって重要といえます。
    また、手術中に目が動いてレーザー照射がずれてしまうことにより発生した不正な乱視も、今では目の動きをレーザーが追う追尾システムの開発により、解決されています。
    コンタクトレンズやメガネでも100%完全な状態で見ていることはほとんどないといってよいでしょう。現在の見え方と、手術後の見え方を予測して比べるのは困難ですが、裸眼で見ることの快適さや、目を動かしても焦点がずれないクリアな視界を得られることで、レーシックは普及しています。担当医とご自身の目の状態をよく相談なさってください。



  • 吉野眼科クリニック 吉野 健一


  • 「レーシックは危険なの?」

  • レーシックという手術そのものは、メガネ、コンタクトレンズに次ぐ視力矯正方法として、眼科医療として広く認知されているものです。



  • 南青山アイクリニック 井手 武


  • 「眼科の先生は当然“眼科医”ですよね?」

  • 日本では、医師免許があれば、医療行為を行うことができます。眼科の経験がなくても、眼科の医療を行うことができます。地域におけるホームドクターという点では、これは必要なシステムといえます。しかし、手術のような専門知識や専門技術を要する医療は、「その分野の知識とトレーニングを得た専門医が行う」ほうが、患者さんにとって安心でわかりやすいといえます。

  • もっと詳しく→ 眼科専門医とは?


    南青山アイクリニック 井手 武


  • 「感染症の危険はよくあるの?」

  • 手術で傷をつけたところに、細菌、真菌などがつくと、感染を起こします。ですので、どんな手術でも、手術をする部位の消毒、使用する器具の滅菌と消毒、術者やナースの手洗いと滅菌の手袋着用、手術室はクリーンルーム、外から菌が入らない衛生管理、これらを徹底します。レーシックは目の表面の治療のため、上記をきちんと行っている医療機関であれば、通常は起こりにくいものです。


  • 南青山アイクリニック 井手 武


  • 「レーシックでドライアイになると聞きましたが、どのくらいの期間でしょうか?」

  • 個人差があります。だいたい、1週間から3か月程度の間で、改善することが多いのですが、人によっては、半年、1年と長引く方もいらっしゃいます。また、まったくドライアイにならない方や、ドライアイがあってもそれを感じられない方もいらっしゃいます。いずれにしても、術後は目の乾きに注意していただき、保湿用の目薬を点眼していただきます。術後のドライアイは、角膜の神経が一時的に切断されるためと考えられています。このため、術後は角膜の知覚が鈍くなり、まばたきを忘れてしまうので、意識的にまばたきをしていただくように指導しています。角膜の神経は半年〜1年ほどで修復されていきます。


  • 南青山アイクリニック 井手 武


  • 「仕事でほぼ一日中パソコンを使用しています。レーシックをしたあと、目が疲れないか心配なのと、また近視に戻ってしまわないか、心配です。」

  • まず、レーシック後の目の疲れに関してですが、現在、メガネかコンタクトレンズをされてお仕事をされていると思います。それと同じ状態にすれば、目の疲れは同じか、もしくは、軽減されると考えられます。なぜなら、メガネはレンズの中央では正しく矯正されていますが、目を動かして中央からずれると、誤差が生じます。これは、疲れ目の原因になります。また、コンタクトレンズもドライアイなどを引き起こして疲れ目のもとになることがあります。ただし、年齢によっては、1.5に矯正した場合、今よりも近くを見るための調節力が必要になることも考えられます。年齢とライフスタイルを考慮して、目標視力に関して担当の先生とよく話し合われてください。 また、近視の戻りに関しては、可能性は否定できません。しかし、元に戻ってしまうような例は知りうる限り聞いていません。5年間の経過観察では、視力はほぼ安定していることが確認されています。もし戻りが出て視力に不満がある方は、角膜に厚みがあれば追加手術が可能です。


    南青山アイクリニック 井手 武


  • 「50歳女性です。最近視力の低下が悩みです。遠くがよく見える1.5のメガネだと、近くが見づらく、疲れます。少し弱めのメガネをつくりましたら、少し楽です。この少し弱めのメガネのようにレーシックをすることは可能でしょうか? 」

  • レーシックでの弱めの矯正も可能です。遠くも近くもメガネなしである程度見たいという場合には、モノビジョンという方法があります。片方の目で遠く、もう片方の目で近くを見る方法です。担当の先生と、よくご相談されてください。コンタクトレンズで試してみられるとよいでしょう。


    南青山アイクリニック 戸田 郁子


  • 「64歳男性です。来年、退職してデスクワークから開放されるので、アウトドアを思いっきり楽しみたいという思いから、レーシックに興味があります。65歳でもレーシックを受けられますか? また、若い人と異なる点がありますか?」

  • 20歳以上(施設により18歳以上)でしたら、レーシックに年齢制限はありません。ご高齢の方でも検査で適応となればお受けいただけます。若い人と違う点は、遠くにピントを合わせると、老眼により近くが見えなくなることです。また、ご高齢の方ですと、白内障がある場合が多くなります。人により、その程度が異なりますが、白内障の手術をしてからレーシックをするか、先にレーシックをするかなど、担当の先生とよく相談されてください。いずれにしても、65歳でアウトドアライフを満喫して、ますます活動的になられることは、アンチエイジングの視点から、とてもよいことだと思います。


    南青山アイクリニック 福本 光樹


  • 「近視が強く、角膜が薄いため、レーシックはできない目で、眼内レンズを入れる方法をすすめられました。近視の眼内レンズについて教えてください。安全なのでしょうか?」

  • フェイキックIOLと呼ばれる眼内レンズです。白内障手術のときに用いるレンズと素材は同じです。水晶体は残したまま、角膜の後ろの虹彩(瞳の茶色のドーナツ形の部分)に、レンズを取り付けます。角膜を削らないので、術後の視力の質が良いと好評です。この治療により、超高度近視の方も厚いメガネから解放されて快適な生活を送っていただけるようになりました。ちなみに私が所属するクリニックのデータとしては、2001年よりこの治療をスタートして、まもなく(2009年7月現在)1000例を超えますが、長期経過も良好です。 


    南青山アイクリニック 福本 光樹


  • 「なぜ病院によって費用が違うのでしょうか?  また、レーザーの機種によって値段にランクがあるのはなぜでしょうか?」

  • 保険診療と違い、レーシックなど自費診療は全額患者様の負担となり、その費用は施設によって自由に決めることができます。レーザーなどの機械の値段は元々高額で、それほど大きな差はありません。ただし、それを最良の状態にするためのメンテナンスの費用や、使用する消耗品のコストは施設によって異なり、「安心で安全、丁寧」なレーシック治療を行うためには人的なコストが相当額かかります。コストダウンのあまり、様々な弊害が生じている施設があるのも事実です。


    名古屋アイクリニック 中村 友昭


  • 「レーシックを受けて3ヶ月になります。顔を洗ったり、汗を拭いたりするときに、目をこすってしまうと、フラップはどうなりますか?」

  • 術後早期、とくに1週間以内はフラップのくっつきはまだ弱く、強くこするとずれてしまう可能性はあります。ただしそれ以降になると、角膜の一番上にある皮のバリアにより、簡単にはずれなくなり、感染にも強くなります。1ヶ月も経つとプールで泳ぐことができます。3ヶ月後にはさらに安定し、傷はほぼ完全に治ってしまうので、ダイビングも可能となり、つめなどで角膜の表面を引掻かない限り、目をこすってしまってもフラップは大丈夫です。


    名古屋アイクリニック 中村 友昭


  • 「角膜を切っても大丈夫?」
    近所の眼科でレーシックのことを聞いたら「角膜は切らないほうがよい。メスを入れると見え方の質が低下したり、問題がおきる可能性がある」といわれました。これは本当でしょうか?また、切った角膜は元通りにくっつきますか? 角膜が弱くなったりしませんか?

  • レーシックの切開は、ケラトームと呼ばれる精密な電動メスや、フェムトセカンドと呼ばれる特殊なレーザーで作られます。これらの機械により作られた切開は、非常に精巧にできているために、見え方の質が落ちたり、問題が起きることはありません。また、切った角膜、つまりフラップの部分は、角膜が持つ陰圧により、しっかりくっつくために、角膜が弱くなったりすることはほとんどありません。ただ、プロボクサーや空手家のように、眼球を直接強く打撲する可能性の高い職業の方は、レーシックではなく、フラップを作らずに近視矯正を行うPRKを選択することをお勧めします。


    宮田眼科病院 宮田 和典


  • 「アベリーノ検査」という遺伝子検査があるとのことですが、受けたほうがよいでしょうか?

  • 「アベリーノ角膜変性症」は、眼科では一般的に「角膜ジストロフィー」または「顆粒状角膜変性」と呼ばれる疾患のひとつです。角膜に濁りが生じる遺伝疾患で、そのほとんどは成人までに発症します。
    レーシックの術前検査では、この角膜ジストロフィーだけでなく、の他の注意すべき角膜の病気を、眼科専門医がしっかりと観察して診断しています。角膜ジストロフィーのほかに、円錐角膜などの病気も、レーシックの禁忌(してはいけない)で、眼科専門医は、これらには特に注意をして診察をしています。
    つまり、アベリーノ検査をすれば安心というわけではありません。角膜疾患に詳しい眼科専門医がしっかりと診察して、レーシックの適応を見分けることが重要なのです。
    昨今、このアベリーノ検査を用いて、患者様に必要のない不安を与えたり、有料の検査を強要した上に検査結果を伝えないなど、トラブルが生じているようです。受ける必要がある検査であれば、大学病院がまず行なっているはずです。(どこの大学病院も行なっていません)安心LASIK ネットワークの施設では、「角膜ジストロフィー」(アベリーノ角膜変性症) の治療も行なっている施設がほとんどです。ですから、この疾患についても詳しい知識がありますので、ご心配な方はネットワークの施設にご相談ください。

    安心LASIKネットワーク